年賀状甲子園2013年・審査員の選評

審査座談会

第4回年賀状甲子園についてご意見をお伺いしたいと思います。まずは優勝は広島県立工業高等学校、準優勝は福島県立光南高等学校となりました。両校について皆さんの総評をお聞きしたいと思います。

いのもとまさひろ

広島県立呉工業高等学校は、トータル的によかったと思います。もちろん、仕上げも丁寧ですし。特に写真作品は、「おっ!」と思いました。イラスト、ルーキー応援作品も、今回いくつか目についた、文字の入り方が遠慮気味になってデザイン的にバランスが惜しいな…、という点もよく出来ていると思います。
せっかく描いたイラストなので、思い入れがあり過ぎてイラスト優先で、文字を乗せたりデザインワークで遠慮気味にどうしてもそうなってしまう気持ちはわかりますけど、そこは頭切り換えないとね!福島県立光南高等学校は、僕はイラスト作品のテーマと、イラストの雰囲気が良かったと思います。

しみずひろみ

優勝校は3作品がバランスよく得点を獲得した結果なんですね。そういう意味で納得です。準優勝もそれぞれテーマ別で作者なりの個性を表現しながら上手くまとめあげた感じですね。ただ、ルーキー応援に関しては説明がないとちょっと解りにくいところが惜しい気がします。イラスト的には独特の世界が感じられて面白いんですけど。
あ、呉工業高等学校さん優勝おめでとうございます。トーナメントで勝ち抜いた結果の優勝。どれも完成度が高かったことと運も味方した訳ですよね。個人的な意見として少し欲を言わせていただくと3点、寒色系が前面に感じられるんです。で、年賀状のイメージというか 目出たさや日本の文化色などちょっぴり考慮して赤系が感じられるものがどれかあると、なんかしっくりくる感じはあるんですけど。
すみません、せっかくの優勝に、意見しない方がいいのですかね?

いのもとまさひろ

僕は、優勝校でも意見があっていいと思います。極論になってしまいますが、イラストやデザインに完全な正解があるわけでは無いと思いますので。でも採点の場では、目に見える数字として表れるので、どうしても結果に物申す!という事があると思います。

実は島根県立出雲商業高等学校、兵庫県立長田高等学校の評価も非常に高かったのですが、トーナメントのくじで両校が最初に当たる事になり、運や不運も加味された結果となっています。(※注/ベスト16は事務局、協賛各社の採点、ベスト8以降はイラストレータの採点)

永井けい

優勝の 広島呉工業高校、準優勝の 福島県光南高校のみなさん、おめでとうございます。ベスト16まで残る学校はレベルが高く個性が光る作品が多いので、どこが優勝するのか結果がわからないんですよね。広島県立呉工業高等学校も、3作品ともデザイン力が高いと感じました。高校生といえども、もうプロのレベルですよね。福島県光南高校は、画力の高い人がそろっていたのですね。年賀イラストはあたたかい気持ちにしてくれる特に大好きな作品だったので、私の中でも高得点でした。

竹本明子

優勝(広島呉工業高校)・準優勝(福島県光南高校)大変おめでとうございます!
広島呉工業高校の作品は、画力もあり、デザインもまとまっていますね。特にルーキー応援はきらりと光るものが感じられました。
どれも完成度が高いのですが、清水さんのおっしゃる通り、全体を並べて拝見したとき、寒色系が少し気になりました。背景や文字に、お正月らしさ(めでたさ・華やかさ)、また季節も冬なので受け取る人がほんわか暖かくなるような暖色系を持ってくると、もっと素敵だったかもしれませんね。
福島県光南高校の作品は、ほんわか優しいイラストがとても可愛いですね。写真作品もユニークですね。後ろに浮いているのは脱皮した抜け殻でしょうか(笑)。ルーキー応援は、独特の世界観で描かれていて面白いなと思いました。暗い色で描かれているのでちょっと怖い印象も受けますが、思い切って赤やオレンジで描くとさらに情熱的が伝わる作品になったかもしれませんね。

渡部政人

広島県立呉工業高等学校の優勝おめでとうございます。3作品とも抜群の構図だと感じます。カラーも色数が少なく押さえてあり、落ち着いていて安心感があります。特に青、緑が3作品の共通コンセプトに感じられ、テーマに対してブレの無いとても強力なチームワークを感じました。特に写真作品は、発想、デザイン、各素材のレイアイト、カラー計画などとてもハイレベルで、しばし見入ってしまいました。
福島県立光南高等学校の準優勝おめでとうございます。優しさ(イラスト部門)と躍動感(写真部門)と力強さ(ルーキー応援部門)が第一印象です。中でもルーキー応援作品のインパクトが強烈でした。とても個性的であり、独創性も感じられます。絵としての表現力も素晴らしいです。この作品との対比でイラスト作品と写真作品の優しく穏やかな良さが一段と増幅された感があります。

それでは、イラスト部門のMVPの選考を始めたいと思います。イチ押しの作品、もしくは1〜2作品挙げて頂きたいと思いますが、如何でしょうか?

いのもとまさひろ

兵庫県立長田高等学校ですね。コメントにも少し書きましたが、コンセプトに基づいてイラストの作風、色、表現の仕方が良く、かつ良くまとめられていると思います。

永井けい

私は福島県立光南高等学校のイラストです。これ大好きでした。色使いがキレイで、見る人の気持ちが新年からホッコリとします。

いのもとまさひろ

私も、福島県立光南高等学校は永井さんと同じく色使いがとてもイイと思いました。テーマも作風も、マッチしてるしカワイイ!

しみずひろみ

今年はイラストが上手いな〜と感じたのが最初の感想です。で、とっても上手な作品がいくつもあり、迷うところなんですが、私が押したいのは北海道平岸高等学校です。まず、荒削りで勢いがある。目出たさがある。陽気でシャレが聞いている。賑やかな中にちゃんとレイアウトも考えられている。きちんと条件を満たしている。そして、もう、、やりすぎ感がとっても高校生らしくて好感が持てます。おそらく意見としては異端かもしれないですね。あと、ノミネート作品の中にないのですが島根県立出雲商業高等学校のイラスト部門の作品がとても気に入っています。カレンダーにして貼っておきたい感じです。

今回はイラストのレベルが非常に高いというのは事務局スタッフの中でも話題となっておりました

竹本明子

私のイチ押しは、兵庫県立長田高等学校ですね。色使い、ヘビの体になっている文字のデザイン、雲や梅も、細部まで手を抜かず、とてもよく考えられているなと思いました。あれこれ盛り込みたい気持ちもあったと思うのですが、コンセプトに忠実によくここまでシンプルに絞り込めましたね。拍手を送ります。
二番目は、福島県立光南高等学校です。準優勝コメントにも書きましたが、お正月らしい色使いに、ほんわか優しいタッチのイラストがとても可愛らしいです。

これで兵庫県立長田高等学校に2票。福島県立光南高等学校も評価が高いですね。

渡部政人

大阪府立旭高等学校, 広島県立総合技術高等学校, 真颯館高等学校の3校の作品が印象に残りました。
大阪府立旭高等学校の作品は描写力では群を抜いています。メッセージ性もあるし、迫力も伝わってきますがもう少し大胆な表現、粗さがあっても良かったかなと思います。
広島県立総合技術高等学校の作品は洗練されています。構図も良く、カラーのバランスもとれています。感覚的には出来上がっている感があって、その部分が少しだけ物足りなさを感じます。
真颯館高等学校の作品をMVPに推薦します。今の時代を生きる高校生の感性が表現出来ていると思います。穏やかさと優しさの中に、繊細な心の動きが感じられる作品です。

兵庫県立長田高等学校2票、北海道平岸高等学校1票
真颯館高等学校1票、福島県立光南高等学校1票
一押しではないけど福島県立光南高等学校が、さらに次点3票です

渡部政人

私は真颯館高等学校を推薦しましたので次点の推薦となりますが、MVP候補に兵庫県長田高校を推薦いたします。

永井けい

私も自分の推した福島県立光南高等学校以外では、兵庫県立長田高等学校です。描き文字と干支を絡めて、実に上手くデザインを仕上げていると思います!

兵庫県立長田高等学校が2票+次点2票
福島県立光南高等学校が1票+次点3票となりますが
しみずさんは如何でしょうか?

しみずひろみ

私もイラストMVPは兵庫県長田高校でおねがいします。

それではイラストMVPは兵庫県立長田高等学校という事で決定させて頂きます。では、次に写真部門の選考に移らさせて頂きます。

竹本明子

写真は、う〜ん、難しいですねぇ。。どれも甲乙付け難いです。強いて決めなければならないなら、山陽女学園高等部でしょうか。アンテナのテレビにロマン調の文字を配置したり、街頭の装飾など細かいディテールまで描かれていて、高校生離れしたデザイン力だなぁと思いました。
赤の使い方が素敵な島根県立大東高等学校、画像処理が上手な北海道札幌平岸高等学校高校生活の楽しさ・友情が感じられる静岡県立清水西高等学校・山形県立米沢商業高等学校なども好感が持てます。

いのもとまさひろ

写真部門MVPは、本当に良い作品が多くて迷いますが、山形県立米沢商業高等学校ですね。瞬発力のあるアイデア勝負で、結果伝わる作品に仕上がってる。面白いなと思いました。
それと、ホント上手いなと思ったのがあります。島根県立出雲商業高等(MVPノミネートとは違いますが)・洗足学園高等学校・北海道札幌平岸高等学校・山陽女学園高等部の写真作品も、MVPに選びたいくらいの作品です。デザイナーの作品のようでしたよ!

しみずひろみ

洗足学園高等学校です。空の色が綺麗すぎて惹き込まれます。さりげなく書かれたコピーが素敵です。最後の「またあおうね」の言葉に心がもっていかれます〜。またしても異端な選出の仕方かも…ですね。
もうひとつは天理高等学校にします。凄く凝ってますね。幻想的なところに惹かれます。審査員の目、、というより好みによる独断と偏見で選んでいます。すみません。

渡部政人

山形県立米沢商業高等学校, この作品を写真部門MVPに推薦します。瞬間的にテーマが伝わって来ます。逆光でシルエットになっている事で、見る人の創造性を膨らませます。シンプルな構成がとても良いと思います。

永井けい

イチおしは、東京都立南平高等学校ですね。その他、北海道札幌平岸高等学校、学校法人石川高等学校です。(MVPノミネートとは違いますが)島根県立出雲商業高等学校の写真はヘビと花の写真コラージュ、色も構図もデザインも考え抜かれています。かなり高度なテクニックとセンスがある方だと思います。

いのもとまさひろ

永井さんと同じく、島根県立出雲商業高等学校の写真作品、本当、力作ですよね!よく練られてますよね〜。これ市販されてたら、買う女性多いだろうなと思ってしまいます。

渡部政人

私はその他次点として、北海道札幌平岸高等学校、静岡県立清水西高等学校の作品が印象に残りました。
北海道札幌平岸高等学校の作品はテーマがストレートに表現されていています。友人を思う気持ちが優しく、穏やかに伝わってきます。金太郎飴の発想はいいですね。背景の色も鮮やかでいてまとまりがあり上部の空白も生きています。とてもバランスのとれた作品。
静岡県立清水西高等学校は躍動感、楽しさ、溢れる若さ、パワー全開。情熱、希望、未来、永遠などをイメージします。全体に重厚感があるのですが、高校生の笑顔と動きで調和を取っていますね。

山形県立米沢商業高等学校…2票+(1名が次点に推薦)
山陽女学園高等部…1票(1名が次点に推薦)
洗足学園高等学校…1票(1名が次点に推薦)
東京都立南平高等学校…1票
その他、北海道札幌平岸高等学校…(4名が次点に推薦)と票が少し割れていますが…自分が入れていない他の高校に入れて多数決としたいと思います。

しみずひろみ

それでは私は写真部門は山陽女学園高等部に入れたいと思います。

竹本明子

写真MVPですが、本当に甲乙つけがたかったので、どれに決まっても構いません。

山形県立米沢商業高等学校…2票
山陽女学園高等部…2票
あとは永井さんの評で決めたいと思います。

永井けい

山形県立米沢商業高等学校に追加1票です。若者らしい清々しさがあります。友達で協力して作った作品というのが、またいいですよね。

これで写真部門のMVPは山形県立米沢商業高等学校と決定致しました。ルーキー応援はヤクルトスワローズの川上選手が、真颯館高等学校の作品をMVPに選出致しました。その他の作品について気になった作品に評を頂ければと思います。

永井けい

兵庫県立長田高等学校です。ルーキーらしい、さわやかなイラストです。青空と芝生、選手の表情、描き文字も絵とマッチしててすごくイイ!素直に好感持ちました。

いのもとまさひろ

愛媛県立小松高等学校ですね。ちょっと秀でた感じですね。安定した力量を持っているなと思いました。東奥義塾高等学校の作品も、素直な応援らしい作品でとても素敵です。川上選手御本人も喜ばれるだろうなと思います。

永井けい

いのもとさん、そうそう。そう思います。東奥義塾高等学校の作品、選手の元気な表情いいですよね。ご本人も、きっとうれしいですよね♪

渡部政人

静岡県立浜松工業高等学校です。下から見上げるアングルにとても迫力があります。正月らしい書き初め(バットではなく筆)をモチーフにしている事に新鮮さを感じます。筆の勢いがこれからの活躍をストレートに表現されています。

竹本明子

1番目は、静岡県立浜松工業高等学校。構図が良いですね〜。今にも飛び出してきそうな勢いが感じられる作品で迫力があります。2013年の豊富が書かれた書き初めが舞っているのも良いですね。
二番目は、東奥義塾高等学校。力強い筆文字が、頼もしさを感じさせます。しっぽを噛んだ金色(黄色)のヘビが優勝の二文字を運んできそうです。

しみずひろみ

東奥義塾高等学校はレイアウトのバランスがいいです。イラストも嫌味な感じがなく上手いですね。テーマにそっててすごく気持ちよく心に飛び込んできます。応援する「愛」が感じられるところが良いと思いました。
鹿児島県立伊佐農林高等学校はマンガのワンシーン風で素直にストレートに伝わってくる想いが気持ち良いです。スピード感、迫力を表す絵のテクニックもあり、上手いですね。

最後に大会の総評としてひとことお願い致します。

いのもとまさひろ

今年は、よく出来た作品が多かったなと思いました。1番思った点は、採点して上位にきた高校は、もしかしたら前年などの審査員の各高校へのコメントや、アドバイスなどをチェックしたうえで制作したのかな?と思いました。そう思ってしまうほど、よく出来た作品がより多かったなと思いました。写真作品のアイデアも、よく考えられてて面白い作品が目につきました。巳年って、難しいのによくアイデア絞ったなぁと、感心させられました。
それと、作品の良し悪しの差が大きく感じたのは、ルーキー応援作品でした。やっぱり選手の事を、よく知っているかどうか、もしくは川上選手を調べたのかどうかという差。知らないまま制作しても、やっぱり説得力に欠けてしまいますよねこれは、今回のようなルーキー応援に限らず、作品を制作するうえで必要な描く前の作業ですよ。実は創る作業のひとつだと思います。
とにかく、全体的には変わらず楽しんでるなと率直に思いました。1番大切な事なのかもしれません。僕は刺激を受けました。今年も、楽しい作品をたくさん見れて、ありがとうございました!

竹本明子

レベルの高い作品ばかりで、審査はとても難しかったです。巳年はモチーフとして難しいと思っていたのですが、どの作品も上手くまとめられていると思いました。
デジタル処理のレベルの高さにも感心しましたが、皆で何度も相談しながら創ったであろう作品、あれこれ調べ物をしたであろう作品の多い事にも感心しました。中でもやはり心を動かされたのは、皆さんが年賀状に込めた「想い(コンセプト・メッセージ)」でしょうか。
高校生の皆さんの画力・表現力の高さ、また若い感性に大きな刺激を頂きました。プロも気を引き締めて良い作品を創っていかなければと、身が引き締まります。ありがとうございました。

渡部政人

みなさんが言っておられるように、今回はレベルが高い作品が多かったと思います。手描きの頃と比べて、PCを下絵作業に、直接表現に使う事で表現の幅が飛躍的に広がりました。高校生にはここまでは出来ないだろうと思う事を、いとも簡単に実現する事実を目の当たりにして、審査する側もボーダーラインを上げなくてはならないと感じました。PCの表現方法が浸透すればする程、逆に手描き(アナログ的)の良さも見直されて来ています。技術にこだわらず、自分の感性が表現できる一番良い方法を見つけて下さい。

しみずひろみ

他の審査員の方同様、レベルが高い作品が多く迷いました。イラストは上手な方が多いですね。皆、それぞれに考えられてて、何処に基準を置き作品に仕上げようかという思いが伝わってきますし、描く個性の違いも本当に面白い。そんな中でテーマにそっているか、と 心に響いてくるか…を基準で選ばせて頂きました。
さらにテクニックを磨くことはいうまでもなく、「思い」を大切に伝えていける作品をこれからも創っていただきたい。みんな素敵です。がんばれ!、と思いました。今回も参加させて頂きありがとうございます。

永井けい

全体的に画力、デザイン力が高い作品が多いと感じました。審査中に高校生の作品だということを忘れてしまうほどでした。中でも、心魅かれるのは、オリジナルのメッセージを伝えようとしている作品でした。高校生活の思い出や、好きな人に向けた思いなどが込められたもの...これはやっぱり響きます。年賀状って、送る相手の方を思って書くものです。そういった本質的なことも大切なんだなとあらためて感じました。

どうもありがとうございました。
座談会は、2012年12月、インターネットを利用して実施。直接審査に関係のない話は割愛させて頂きました。また、審査委員の敬称は略しています。